前略 平素はご高配を賜り誠に有難うございます。
さて、弊社におきまして、本年5月より「清酒特区」第1号となる酒造りを、旧西三川小学校を利活用した醸造施設「学校蔵」にて始めることをご報告いたします。
2019年12月の国会で構造改革特別区域法の一部が改正され、第27条として「清酒の製造体験のための酒税法の特例」が認められることとなりました。これは俗に言う『清酒特区』というもので、《既に清酒製造の免許を受けている者が地域の活性化を目的として清酒製造体験を実施する施設を増設する場合に、既存の製造場とひとつの製造場としてみなす》ものです。
弊社に当てはめていうと、佐渡市西三川に位置する、地域活性化を目的として製造体験を行う酒蔵「学校蔵」を、車で15分ほど離れている佐渡市真野新町にある既存の清酒製造場である尾畑酒造と一体の製造場としてみなすということになります(注1)。これまで学校蔵ではリキュール製造免許で樽酒風味のリキュールを製造していたものが、今後は本蔵の清酒製造免許によって日本酒の製造ができるようになるというものです。
時系列としては2019年12月に構造改革特別区域法の一部が改正。2020年1月に佐渡市が特区申請。2020年3月17日に佐渡市の特区承認。その後、弊社よりその適用を申請し、4月21日付で、「5月10日より認定計画特定施設内の場所を既存の製造場と一の清酒の製造場とみなす承認通知書」が発行、という流れになります。
学校蔵の構想が生まれてから約10年。当初より様々模索を続け長い道のりとなりましたが、これにより、いよいよ「学校蔵」初の日本酒の仕込みがこの5月からスタートします。日本酒発の地域活性化の物語にご期待ください。
注1)これまでは、同じ敷地内あるいは近接している場所にある場合にのみ同一製造場としては認められませんでした。そのため、学校蔵ではこれまでリキュール製造免許を使用して、純米酒を醸した後に佐渡産の杉材を漬け込みリキュール表記にて出荷していました。
【学校蔵での2020年の仕込み予定】
学校蔵では5〜8月にかけて日本酒の仕込みをします(本蔵で冬場に仕込みをしているので、その後、仕込みがスタート)。ここでは酒造りに適した温度に調整し、冬の環境を用意しています。100%佐渡産米を使用。また、ソーラーパネルをプール跡とグランド跡に設置しており、電気に関しては自然再生エネルギーを導入しています。今年の仕込み予定は以下の通りです。
●仕込み1号
佐渡市岩首の昇龍棚田の保全に協力すべく、その地で栽培されたコシヒカリを100%使用した精米歩合50%の酒を仕込みます。
●仕込み2号
「学校蔵」の活動に共感してくださる沖電気工業(株)様とのコラボレーションにより、佐渡産・越淡麗を使用した純米大吟醸を。
●仕込み3号
同じく佐渡産・越淡麗を100%使用した純米大吟醸。一部をタンク内で二次発酵させるスパークリング清酒にも挑戦します。
●仕込み4号
佐渡産・越淡麗を60%まで精米をした純米酒。「学校蔵」では佐渡産の米のみを使用した酒造りを行います。
●仕込み5号
「学校蔵」の活動に共感してくださる「ダンチュー」WEBチーム様とのコラボレーションにより、越淡麗・精米歩合60%の生酛造りにチャレンジます。
【学校蔵】詳細はこちら→
https://www.obata-shuzo.com/home/gakkogura/2010年に廃校になった小学校を酒蔵として再生した場所。春〜夏に冬の環境を作り、オール佐渡産で米と再生エネルギーを使って酒造りを行う。「一週間の酒造り体験プログラム」として酒造りを学ぶ場としても活用。また、毎年6月に「学校蔵の特別授業」を開催し、藻谷浩介氏や出口治明氏などを講師とし一日限りのワークショップも行う(2020年の開催はお休みいたします)。体験プログラムにつきましては近日中にアップ致します。