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闊歩するタ・ヌ・キ [蔵元寄り道日記] 入力者: 尾畑留美子
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いよいよ3月も31日。日本ではやはり節目の日です。 そんな一日の朝。とっても天気が良いのに、テレビでは新潟の上越・中越地方で雪マーク!そんなはずもないかな、と思っていたのですが、 夕方帰る頃には冷たい雨が降り続き、なんとも肌寒い帰り道となりました。
と、家に近い道を車を走らせていたら、ササッと道を横切る物体が・・・!なんと、佐渡にたくさんいるタヌキ君です。
初めて見た時には驚きましたが、今や佐渡の住民としてのタヌキの存在は当たり前。
オーストラリアでは道路標識に「カンガルーに気を付けて!」バージョンがあるそうですが、ここ佐渡島では「タヌキ君に気を付けて!」が必要なくらい、暗くなった道には銀毛をまとったタヌキ君に遭遇する確率が高いのであります。
一見、大きな猫のような、柔らかい犬のような、愛嬌のあるアライグマのような、しかしながら、いつもの佐渡タヌキ君が今日も道を我がもの顔で闊歩していきます。
そんないつもの風景を目にしながら暮れていく3月31日なのでした。 |
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春の徒然に思うこと [蔵元寄り道日記] 入力者: 尾畑留美子
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桜前線も上昇し、佐渡も来月には花見の季節を迎えそうです。 今月は毎週金曜日にラジオ出演もさせて頂いておりましたが、 28日が最終回となりました。 全4回、テーマを決めて私の好きな言葉を紹介させて頂きました。 「バランス」「決断と実行」「挑戦」「夢をあきらめない」
時として、好きな言葉や人というのは、目標でもあります。 まったく至らない自分の目標。 しかしながら、なかなか変わることのない目標。
実は先日、自分が蔵に戻った当時に受けたインタヴュー記事を読み返しました。 青くって恥ずかしいばかりなのですが、今でも目標としていることは変わってない。「成長ないなぁ」と思うと同時に、ホッとしたりしました。
ところで今日は3月29日。 3月もじきに幕を降ろすこのタイミングは、「異動」の季節でも あります。
新潟は日本海側の拠点として、いろんな会社の支社が置かれています。 単身赴任でいらした多くの人が、とりこになってしまう魅力を 備えた街が新潟です。自然があって、人情があって、食べるものがおいしくて、新潟美人が楚々として、佐渡という宝の島があって、そして何より酒がおいしい!
新潟と触れ、新潟をこよなく愛してくれるようになった人たちが、 なんだか寂しそうにまた違う土地に旅立っていきます。
同じ県内での異動であっても広大な県なので、それもまた大きな変化なのです。 だから、この季節はそんな旅立ちを惜しむ一献が交わされる季節でもあるのです。
突然話が変わりますが、私の家から見る星空はとってもきれいです。 田舎で、ネオンもない家の庭から眺める星空。 澄んだ空気の中でたっくさんの星が輝いています。
東京で勤めていた頃は、見ることもなかった、いえ、見ようともしなかった地球の宝物です。
そんな星空を眺めていると、なぜだか勇気が湧いてきます。
こんな大きな空の下で、出会えた人たち。 どこに行っても、この星空の下にいるならば、きっとまた出会えます。
いつか新しい出会いで得た発見を得意げに持ち寄りながら またお会いしましょう。
そしてこの星空の下、おいしいお酒をグラスに注いで 「日本酒で乾杯」!
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真野鶴古酒の味わい [佐渡の蔵元日記] 入力者: 尾畑留美子
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| 先日、佐渡にいらしてくださった「Wine & Spirits」のピーターさんが、ご自身のブログ(2008年3月19日版)で早速佐渡金山で味わった「真野鶴・佐渡金山秘蔵古酒」についてご紹介して下さっています。
この古酒は10年も寝かせたのに透明感が残った淡い琥珀色。 新潟清酒の特徴である淡麗な飲み口でありながら、 それでいて味わいは白トリュフ、フォアグラなどを感じる複雑さ、等々 試飲の時にも光栄なるコメントをたくさん頂きました。 う〜ん、このお酒を持ってヨーロッパに飛んで行きたい! 「熟成させたシャンパンみたい!」というお言葉も頂きましたけれど、 本当に、日本酒がこういう変化を経ていくというのは不思議です。
古酒と一口で言っても、色がレンガがかったとても重たい濃熟タイプから比較的色もきれいな淡熟タイプまであります。 真野鶴の古酒は、大吟醸タイプが主流です。 淡熟の繊細さと上品な飲み口を保ちながらも、味わいが 幾重にも感じられてふくらみのある飲み口になるような お酒を選んで貯蔵しています。
特に、貯蔵するときの最初のコンディションが大事です。 そして目指す古酒のタイプによってお酒の種類も選びます。 さらに貯蔵温度、貯蔵期間や貯蔵方法(ビンなのかタンクなのか) にもよって熟成具合は全く変わっていきます。 当社では全てビン貯蔵、さらに冷涼な環境でのゆっくりした熟成での 淡熟タイプ(でも幅とふくらみのある味わい)のものが多いです。
この日、皆さんには古酒にしたものと同じ造りの大吟醸の 新しいお酒(昨年仕込んだもの)も飲んで頂きました。 もちろん、こちらもとても美味! もともと落ち着きのある大人の味わいなのです。 それが時を経て、さらにエレガントになったのがよくわかります。
「古酒」の楽しみ方はいろいろありますが、こんな風に比べて 飲む機会があれば素晴らしいことです。 そしてグラスに満たされた、”10年の歳月”を刻んだ酒の魅力を かみしめながら味わう時間。 そんな贅沢もたまにはいいですね。
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佐渡金山秘蔵古酒の取材同行 [佐渡の蔵元日記] 入力者: 尾畑留美子
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| 「酒の陣」にはアメリカからジャーナリストの方々がいらっしゃいました。「Wine & Spirits」のPeterさん、シェフのJoshさん、アメリカ版「料理の鉄人」、「Iron Chef」のコメンテイターでもあるフード・ジャーナリストの片山晶子さんの3名です。
皆さんは「酒の陣」の後に佐渡に渡り、朱鷺センターや鼓童などを訪問。そして17日朝に佐渡金山を視察するということで、私も佐渡金山で合流致しました。
実は、佐渡金山で1992年からお酒を寝かせて熟成古酒を造っています。 ちょうど10年ほど前に入れたお酒が飲み頃になっているころです。
佐渡金山は一年を通して気温が10度前後に保たれていて、もちろん日光が当たることなく、古酒の貯蔵スペースとしては最適です。
今回も長い長いトンネルのような坑道を進んで辿り着いた貯蔵場所。 普段は一般公開されていないのですが、取材にあたり鍵を開けてもらっておずおずと一同進みます。 シートが掛けてある様々なお酒の中で、お目当てのお酒を見つけ、 一本だけ抜きとりキャップを捻ります。 そして封を切った瞬間・・・秘密めいた暗い空間に、ふわりふわりと華やかな香り・・・吟醸香はもちろん、さらにシャンパンのようなシェリーのような、艶やかな香りがパッと広がります。
用意していったワイングラス型の小型の酒器に静かに静かに古酒を注ぎいれます。 これが日本酒?と思える味わいに、一同、ほ〜っとため息。
ほの暗い空間は、あっという間に古酒の香りに包まれていきます。
「真野鶴・佐渡金山秘蔵古酒」−−−この大吟醸は10年の時を経て、かつての佐渡金山の繁栄と浪漫、そしてほのかな琥珀色をまとい、今まさに鮮やかに蘇ったのです。
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「酒の陣」に注目! [佐渡の蔵元日記] 入力者: 尾畑留美子
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| 今年の「酒の陣」はとにかく盛況で、会場の入り口(二階)から下を見下ろすと、人の頭で一面真っ黒という状況でした。 これはまさに初年度の現象そのもの。 ただし、初年度から年々会場のスペースは徐々に広がり、今年はなんと二倍のスペースになっていることを考えると、その盛り上がりぶりもやはり二倍、ということなのです。
5年目にしてやっと全国の(いや、一部世界の?)お酒ファンに「酒の陣」が知られたということでしょうか。 関係者の方々の努力は毎年測り知れませんが、本当に嬉しいことです。
そして今年の会場では、取材する方の姿も例年に比べてとても多かったです(写真:真野鶴ブースでも取材中)。 地元新潟のメディアはもちろんのこと、全国ネットのメディアやアメリカ、韓国、ロシアなど海外からのジャーナリストも大勢いらっしゃいました。「酒の陣」の注目度とともに「新潟清酒」、そして広くは「日本酒」へ注目が集まることを期待するばかりであります。
さて、二日目の3月16日には、以前もご紹介した「新潟清酒達人検定」の試験が同会場の別室で行われました。 受験者はおよそ1,400人。お酒業界の人たちや飲食店の方々はもちろんですが、一般の方もちょっとした宴席や接待の席で愛されるウンチクを話すために受験した、というパターンもあるようです。 午前の受験を終えると一目散にカップ片手に会場に駆け込んで、試験勉強から解放されてリラックスした様子でお酒を楽しむ姿があちこちで見受けられました。 今月末には結果も発表されるそうですから、「新潟清酒達人検定」についてはまた改めてご紹介致します。(「新潟清酒達人検定」については ヤフーブログ”酒の達人を目指せ!”でも楽しく読んでもらえる連載があるそうです) 私の知り合いもたくさん受験しましたから、その結果が楽しみな反面、たくさん”合格祝い”が必要になりそうでちょっぴりドキドキ。
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