蔵元日記

 
  2009年05月31日 (日)
佐渡づくしで味わう地酒の旅(1) [佐渡の蔵元日記]  入力者: 尾畑留美子
●佐渡づくしで味わう地酒の旅(1)

お天気も良かった5月30日、”佐渡づくしで味わう地酒の旅”を
開催致しました!

この旅の副題は「おいしく地酒を飲むための十カ条を旅する」。
私が独断で作った十カ条に沿って、働いて勉強しないと夜のお酒に
到達致しません(笑)。

まぁそれは冗談ですが、一日よく動いてよく学んで、そして佐渡で
佐渡の地酒を味わってもらうべく考えた十カ条です。

さて、写真は朝の筍掘りの一枚です。

蔵のある真野のとある竹林にお邪魔させて頂きました。

筍掘り初挑戦の参加者がほとんどだったのですが、筍掘りだけ
特別参加してくれたお子さんたちが特によく見つけてくれました。
やはり視点が低いのでしょうか。元気な声で「ここにもあるよ〜!」と知らせてくれます。
大人たちはスコップを抱えてあっちこっち付いていくばかり。

一時間もすると汗がじんわり、息もあがり、「はぁ〜」・・・。

収穫はたっくさんの筍クンです。

今は「淡竹(はちく)」の季節。
赤紫の皮に包まれたもので、えぐみが少なく淡白な味わいの筍です。
この筍クンは真っ先に夜にお邪魔する割烹に持っていき、ご主人に
託します。

酒の肴を地元で採る。しかも自分たちの手で。
大仕事でしたけど、なんとなく自慢顔になるのでした。
 
 
  2009年05月27日 (水)
「万穂」と「実来」 [佐渡の蔵元日記]  入力者: 尾畑留美子
この春、「真野鶴・万穂(まほ)」の姉妹酒とも言える「真野鶴・実来(みく)」が誕生しました!

「真野鶴・万穂」は、山田錦35%で仕込んだ当社人気の大吟醸。
奥行きのある味わい、熟成したフルーツの香り、七色の球体を思わせるバランスの良さがあり、まるで黄金色の稲穂が一面に広がっているような豊作のイメージがあります。

一方の「真野鶴・実来」は、新潟県限定栽培酒米「越淡麗」35%で仕込んだ大吟醸です。
越淡麗とは、日本の二大酒米「山田錦」と「五百万石」を掛け合わせた酒米で、構想18年をかけて開発された新潟期待の新星。

「真野鶴・実来」は二大酒米の良い特徴、若々しくフレッシュで芳ばしい香りと、上質な旨みと酸味、まろやかさのハーモニーを生んでいます。そのグリーンの瑞々しい印象と奏でるハーモニーのかろやかさは、その名の如く、”実りの到来”を感じる大吟醸です。

これからお世話になります!
よろしくお願い致します。

「真野鶴・万穂」の詳細はこちらから。
「真野鶴・実来」の詳細はこちらから。
*「真野鶴・実来」は先行発売のため、途中でラベルなど外装が変更になる場合がございます。予めご了承下さい。
越淡麗についての蔵元日記はこちら。
 
 
  2009年05月23日 (土)
燕の旅立ち [蔵元寄り道日記]  入力者: 尾畑留美子
毎年、4月の頭に蔵に来る燕たち。
今年はいつもより2週間近く早い3月22日にやって来て、「これも温暖化の影響だろうか」と社内で話題になりました。

それから二か月の間、可愛い雛が誕生し、すくすくと大きくなっていきました。
蔵に訪れるお客様も、ス〜イスイと小さな小窓から入ってきては雛に餌を持ってくる燕の姿を見つけては驚きの声。
雛たちの「ピーピー」という可愛い声が蔵に響き渡ると、みんなしばし歩みを止めて見入ってしまう光景でした。

そんな燕たちの旅立ちの日がやってきました。

親鳥が、巣にいる子供たちに何事か語りかけます。
そして、一羽、もう一羽・・・と巣から飛び出し、30分もすると四羽すべての子供たちが巣のまわりを旋回しはじめました。

最初は大きな透明のガラス戸にぶつかったり、壁に飾ってある布にしがみついたりと、初心者(いや、初心燕?)の格闘ぶりが続きます。

しかしやがてコツを覚えたのか、親燕の後を追って子供たちも旅立ちの時を迎えました。

今日の佐渡は過ごしやすい一日です。

蔵でお酒の香りに包まれて育った燕たちは、佐渡の大空に旅立っていきました。

また帰っておいでね!
 
 
  2009年05月20日 (水)
酒と器 [佐渡の蔵元日記]  入力者: 尾畑留美子
お気づきでしょうか?
当社サイトのホームにある4枚の写真が衣替え致しました。
その中に「真野鶴」と一緒に登場している江戸切子に目を留めた
方も多いと思います。

実はこの江戸切子は、華硝さんの器。
亀戸にある華硝さんの器は日本を代表する江戸切子のトップブランドとして国内外に紹介されていて、洞爺湖サミットをはじめとした国賓の方々への贈り物としても選ばれています。

日本酒の楽しみの一つに器を選ぶ楽しみがあります。

●素材(感触、熱の伝わり方が違います)
●形(香りの立ち方や舌への流れ方が違います)
●厚さ(口当たりの違いでお酒の印象が変わります)

そういった要素で、見た目はもちろんですが、機能、そして味わいも変わってくるのですから、お酒の造り手としてはやはり器は大事なパートナーと言えます。

私が華硝さんの江戸切子で好きなポイントは、やはり「輝き」でしょうか。
色合いが光の当たり具合で変わっていって、中で満たされているお酒もそれに答えて表情を変えていくような感じ。
本物の江戸切子だからこその魅力。
飲んでいて、お酒と会話していくような楽しみがあります。

え、独り言じゃないかって???
いえいえ。お酒は”生きている”のですよ。

ところで、華硝さんの取締役・熊倉千砂都さんはとっても元気で素晴らしい感性を持っている女性。
今回真野鶴と一緒に写っている緑色の器も彼女が選んでくれたものです。
日本酒には「緑酒」という呼び方があるんですよ、と話したら、
千砂都さんもあの色が日本酒に合うと感じていたそうです。

もっとも、多彩に輝きを放つ器はどの色も素敵です。

ニッポンのお酒には、器のほかにも温度や季節感を楽しむという良さがありますが、それを考える度に、酒文化、日本文化の素晴らしさを再認識するのです。
 
 
  2009年05月19日 (火)
ニッポン酒の楽しみ(エッセイより) [佐渡の蔵元日記]  入力者: 尾畑留美子

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「ニッポン酒の楽しみ」(新潟日報・晴雨計に書いたエッセイより)

 言わずもがな、ニッポンの国酒は日本酒であります。フランスのワイン、ドイツのビール、中国の老酒、ロシアのウオツカ。その国を代表する酒は数々あれど、他の国酒にはあまり見かけない、日本酒にはニッポンの酒ならではの楽しみがあるのが嬉しいところ。

一.温度で楽しむ
 日本酒は冷やして良し、常温で良し、燗して良し、という世界でも珍しいお酒です。一口で「燗酒」といっても、その温度帯で日向燗、人肌、ぬる燗、上燗、熱燗、飛切燗、と細かく分類されます。その一方で香りのよい酒を冷酒で、またアルコール度数高めの原酒をロックで飲むというスタイルもすっかり定着しました。

二、季節で楽しむ
 その仕込みの時期、タンクから搾りたての「生酒」が誕生します。その後、春と夏を蔵で過ごし熟成された酒は、「秋あがり」と呼ばれるまろやかな味わいに変化していきます。
 誕生したてのフレッシュな味わいから、季節を経て落ち着いた味わいに。一本のタンクから生まれる酒は、季節を経て違う表情を見せてくれるのです。

三、酒器の楽しみ
 日本酒の飲み方に温度や季節の楽しみ方があるように、その楽しみをさらに際立たせ、風情のあるものにしてくれるのが、酒器です。
 木升からガラス、陶器、銅など、素材や形によってお酒の味わいが変わってきますし、飲む温度に合わせ、あるいは季節に合わせ、酒器を選ぶ楽しさがあるものです。

まだまだありますが、日本酒の楽しみは、ニッポンならではの民族性、四季折々の自然、独特の美意識と、日本酒ならではの繊細で高い醸造技術が多分に影響し合っています。そんなニッポンの豊かな環境に感謝しつつ、今夜も一献愛でるとします。

(新潟日報「晴雨計」エッセイより)
 

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